家庭用ゲーム機 技術資料室

Console Hardware Archiveest. 2024

16bit世代(1988–1990) / 任天堂

スーパーファミコンSuper Famicom

CPUクロックは3.58MHz。同世代の68000機の半分以下でありながら、映像と音声を専用チップに逃がすことで成立した機体。

任天堂 スーパーファミコン本体とコントローラ
スーパーファミコン(任天堂/1990年11月21日)
撮影:Evan-Amos / 出典:Wikimedia Commons / パブリックドメイン

基本情報

発売日1990年11月21日
発売元任天堂
型番SHVC-001
発売時価格25,000円
ソフト媒体ROMカートリッジ
同時発色数32,768色中 同時256色
出荷台数国内 1,717万台/全世界 4,910万台

任天堂公表値(SNES を含む全世界合計)。

システム構成

媒体 / MEDIA ROMカートリッジ 最大48Mbit級 演算チップ搭載可 CPU リコー 5A22 65C816ベース 1.79/2.68/3.58MHz 可変 サブプロセッサ カートリッジ側 演算チップ DSP-1 / SuperFX SA-1 / S-DD1 など SYSTEM BUS 映像 / VIDEO S-PPU1 + S-PPU2 32,768色中 同時256色 モード7(回転拡大縮小) メモリ / MEMORY ワークRAM 128KB VRAM 64KB サウンドRAM 64KB 音源 / SOUND SPC700 + S-DSP 8ch すべてADPCM ソニー設計 入出力 / I-O コントローラ端子×2 拡張コネクタ(底面) マルチタップ対応 FIG. Super Famicom — SYSTEM DIAGRAM

図1 スーパーファミコン のシステム構成。当資料室で作成。

主要諸元

CPUリコー 5A22(65C816ベース)1.79/2.68/3.58MHz 可変
映像S-PPU1/S-PPU2(2チップ構成)
発色数32,768色中 同時256色
解像度256×224(最大 512×448・インターレース)
スプライト128個/水平方向 32個まで
特殊機能背景の回転・拡大縮小(モード7)、加算/減算による半透明合成
音源ソニー SPC700 + S-DSP/8ch ADPCM(BRR圧縮)
メモリワークRAM 128KB/VRAM 64KB/サウンドRAM 64KB
媒体ROMカートリッジ(最大48Mbit級/演算チップ搭載可)

クロックを上げずに済ませる

CPUは65C816系の5A22。動作クロックはアクセス先のメモリ速度に応じて1.79MHz、2.68MHz、3.58MHzに自動で切り替わる。最高でも3.58MHzであり、同世代のメガドライブ(68000/7.67MHz)と比べると数字の上では明確に劣る。

この構成が成立しているのは、負荷の大きい処理をCPUから切り離しているためである。背景とスプライトの合成はS-PPU1/S-PPU2が、音声の再生とエンベロープ処理はSPC700とS-DSPが独立して行う。CPUはゲームロジックとデータ転送に専念する。

一方で、CPU自体の演算が必要な場面——3D計算や大量の座標変換——では性能不足が表面化する。その回答がカートリッジ側の演算チップだった。

全チャンネルPCMという判断

音源はソニーが設計したSPC700とS-DSPの組み合わせ。8chすべてがBRR圧縮のサンプリング再生で、64KBの専用RAMに波形を置く。

FM音源が主流だった1990年に、全chサンプリングという構成は珍しい。利点は音色の自由度で、生楽器の録音でも合成音でも同じ枠組みで扱える。制約は64KBというRAM容量で、収められる波形の総量が厳しく制限される。

ゲームによって音質の傾向が大きく異なるのは、この64KBをどう配分したかの差である。ループ点の設定、サンプリングレートの引き下げ、複数楽器での波形共有といった手法が各社で独自に発達した。

カートリッジに演算チップを載せる

本体の演算性能を、カートリッジ側のチップで補う設計が活発に使われた。

DSP-1(座標変換/『パイロットウイングス』『スーパーマリオカート』)、SuperFX(ポリゴン描画/『スターフォックス』)、SA-1(65C816を10.74MHzで駆動/『スーパーマリオRPG』『カービィスーパーデラックス』)、S-DD1(リアルタイム展開/『スターオーシャン』)。いずれも本体を買い替えずに表現の幅を広げる手段だった。

この構図はファミコンのマッパーICと同じ発想の延長にある。本体を安く据え置き、必要なソフトだけがコストを負担する。

派生モデル・周辺機器

1995年6月
サテラビュー(18,000円)― 衛星データ放送によるソフト配信
1996年2月
ニンテンドウパワー ― ローソン店頭での書き換えサービス(1997年〜)
1998年3月
スーパーファミコンJr.(7,800円)― 小型・低価格版
2003年9月
本体生産終了

参考にした資料

  • 任天堂 決算資料「主要ハードウェア・ソフトウェア販売実績」
  • SPC700 / S-DSP 技術資料(コミュニティ調査)

画像出典

  • 「任天堂 スーパーファミコン本体とコントローラ」 撮影:Evan-Amos / 出典:Wikimedia Commons / ライセンス:パブリックドメイン

システム構成図および各種グラフは当資料室で作成したものです。

最終更新:2025-05-25