家庭用ゲーム機 技術資料室

Console Hardware Archiveest. 2024

32/64bit世代(1994–1996) / セガ・エンタープライゼス

セガサターンSega Saturn

SH-2を2基、ほかに補助プロセッサを4基。合計8個の演算装置を積んだ結果、性能を出すこと自体が設計課題になった機体。

セガサターン本体とコントロールパッド
セガサターン(セガ・エンタープライゼス/1994年11月22日)
撮影:Evan-Amos / 出典:Wikimedia Commons / パブリックドメイン

基本情報

発売日1994年11月22日
発売元セガ・エンタープライゼス
型番HST-0001
発売時価格44,800円
ソフト媒体CD-ROM(2倍速)
同時発色数1,677万色
出荷台数国内 約580万台/全世界 約926万台

セガ公表値に基づく一般的な引用値。

システム構成

媒体 / MEDIA CD-ROM 2倍速 約640MB 拡張RAMカートリッジ対応 CPU 日立 SH-2 ×2 各 28.6MHz デュアルCPU構成 サブプロセッサ SH-1(CD制御) MC68EC000(音源) SCU-DSP(座標演算) SYSTEM BUS 映像 / VIDEO VDP1(描画) VDP2(背景・回転) 四角形ポリゴン方式 メモリ / MEMORY ワークRAM 2MB VRAM 1.5MB サウンド512KB/CD512KB 音源 / SOUND SCSP(YMF292) PCM 32ch FM合成対応 入出力 / I-O コントロール端子×2 カートリッジスロット 通信用拡張端子 FIG. Sega Saturn — SYSTEM DIAGRAM

図1 セガサターン のシステム構成。当資料室で作成。

主要諸元

CPU日立 SH-2 28.6MHz ×2(デュアル構成)
補助プロセッサSH-1(CD-ROM制御)/MC68EC000 11.3MHz(音源制御)/SCU-DSP(座標演算)
映像VDP1(スプライト・ポリゴン描画)/VDP2(背景・回転・拡大縮小)
発色数1,677万色中
解像度320×224 〜 704×480
音源SCSP(ヤマハ YMF292)/PCM 32ch・FM合成
メモリワークRAM 2MB/VRAM 1.5MB/サウンドRAM 512KB/CDバッファ 512KB
媒体CD-ROM(2倍速)/拡張RAMカートリッジ対応

2基のSH-2を協調させる

メインCPUは日立SH-2を2基。当時の家庭用ゲーム機でCPUを対等に2基積んだ例はほかにない。

ただし2基あることと2倍の性能が出ることは別である。両者は同じバスを共有し、同じワークRAMを見る。片方がメモリにアクセスしている間、もう片方は待たされる。実効性能を引き出すには、キャッシュに載る範囲で処理を分割し、バス競合を避ける設計が必要になる。

セガ自身が後年、開発難度の高さを認めている。実際、多くのサードパーティ製ソフトは第2のSH-2をほとんど使わずに作られたと言われる。ハードウェアの理論性能と、実際に市場へ出たソフトの水準の乖離が最も大きい機体のひとつである。

四角形ポリゴン

VDP1が扱う描画単位は四角形(クアッド)である。テクスチャを四隅に対応させて貼るため、正方形に近い面の描画は素直に処理できる。

問題は互換性で、同時期のPlayStationやPCのグラフィックスAPIは三角形を基本単位とする。他機種向けに作られた3Dデータをそのまま持ち込めず、マルチプラットフォーム展開の際に追加コストが生じた。

また、四角形の4頂点が同一平面上にない場合に描画が歪む。ポリゴン同士の継ぎ目に隙間が見えるサターン特有の症状は、この仕様に由来する。

VDP2が支えた2D性能

VDP2は背景専用の描画チップで、VDP1とは独立して動作する。最大4面のスクロール背景に加え、2面の回転可能な背景を扱える。回転・拡大縮小はVDP2側で完結するため、CPUの負荷にならない。

この構成が、サターンの2D表現の強さを支えた。多重スクロール、大きな回転する床、半透明のラスタ効果。アーケードの2Dタイトルを高い再現度で移植できた理由は、ポリゴン性能ではなくVDP2にある。

1996年以降、拡張RAMカートリッジ(1MB/4MB)が登場し、大容量のキャラクターパターンを本体RAMの外に置けるようになった。格闘ゲームの移植ではこのカートリッジが事実上の必須条件になっている。

派生モデル・周辺機器

1995年7月
セガサターン(白/HST-3200・20,000円)― 価格改定と筐体色変更
1996年
拡張RAMカートリッジ(1MB/4MB)
1996年
ビデオCDカード ― MPEG-1再生用拡張
1996年4月
セガネットワークサービス「セガサターンモデム」

参考にした資料

  • セガ ハードウェア年表
  • セガサターン 開発者向け技術資料(VDP1/VDP2 仕様)

画像出典

  • 「セガサターン本体とコントロールパッド」 撮影:Evan-Amos / 出典:Wikimedia Commons / ライセンス:パブリックドメイン

システム構成図および各種グラフは当資料室で作成したものです。

最終更新:2025-10-19