家庭用ゲーム機 技術資料室

Console Hardware Archiveest. 2024

32/64bit世代(1994–1996) / 任天堂

NINTENDO64Nintendo 64

Zバッファ、ミップマップ、トライリニアフィルタ、アンチエイリアス。1996年の家庭用機としては過剰なほど先進的で、そのうえテクスチャキャッシュが4KBしかなかった。

任天堂 NINTENDO64 本体
NINTENDO64(任天堂/1996年6月23日)
撮影:Evan-Amos / 出典:Wikimedia Commons / パブリックドメイン

基本情報

発売日1996年6月23日
発売元任天堂
型番NUS-001
発売時価格25,000円
ソフト媒体ROMカートリッジ(最大512Mbit)
同時発色数1,677万色
出荷台数全世界 3,293万台

任天堂公表値。

システム構成

媒体 / MEDIA ROMカートリッジ 最大512Mbit(64MB) ロード時間ほぼゼロ CPU NEC VR4300 MIPS R4300i系 93.75MHz 64bit サブプロセッサ Reality Coprocessor RSP(信号処理) RDP(描画)62.5MHz SYSTEM BUS 映像 / VIDEO RDP 256×224 〜 640×480 Zバッファ/ミップマップ/AA メモリ / MEMORY RDRAM 4MB 拡張パックで8MB ユニファイドメモリ 音源 / SOUND RSPによるソフト処理 最大64ch相当 専用音源チップなし 入出力 / I-O コントローラ端子×4 拡張パックスロット 64DD拡張端子(底面) FIG. Nintendo 64 — SYSTEM DIAGRAM

図1 NINTENDO64 のシステム構成。当資料室で作成。

主要諸元

CPUNEC VR4300(MIPS R4300i系 64bit)93.75MHz
コプロセッサReality Coprocessor 62.5MHz(RSP:信号処理/RDP:描画)
メモリRDRAM 4MB(拡張パック装着で8MB/ユニファイド構成)
発色数1,677万色
解像度256×224 〜 640×480
描画機能Zバッファ、ミップマップ、トライリニアフィルタリング、アンチエイリアス
テクスチャキャッシュ4KB
音源RSPによるソフトウェア処理/最大64ch相当
媒体ROMカートリッジ(最大512Mbit=64MB)

1996年に持っていた機能

Reality Coprocessorの設計にはSilicon Graphicsが関わっている。同社は当時のワークステーション向け3Dグラフィックスで最先端にあり、その技術を家庭用機の価格帯へ落とし込む形になった。

結果として、1996年の家庭用機がZバッファ、ミップマップ、トライリニアフィルタリング、ハードウェアアンチエイリアスを標準で持つことになった。同世代のPlayStationとサターンはいずれもZバッファを持たない。ポリゴンの前後関係がハードウェアで正しく解決され、テクスチャが遠近で自然に補間される。この差は画面上ではっきり見える。

4KBのテクスチャキャッシュ

一方で、RDPが持つテクスチャキャッシュは4KB。ここに収まらないテクスチャは扱えない。

4KBは、たとえば64×64ドット・16bitカラーのテクスチャ1枚でほぼ埋まる。実際のソフトでは32×32や32×64といった小さなテクスチャを、色数を落として使うことになる。

N64のソフトに共通する、ぼやけて模様の少ない質感は、この制約とバイリニア/トライリニアフィルタの組み合わせによる。低解像度のテクスチャを拡大して貼り、フィルタで滑らかにする。輪郭は綺麗だがディテールがない、という特徴的な絵作りがここから生まれた。

ROMカートリッジを選んだ結果

同世代の他機種がCD-ROMへ移行するなか、N64はROMカートリッジを継続した。理由としては、ロード時間の排除、耐久性、そして不正コピーへの耐性が挙げられる。

実際にロード時間はほぼゼロで、電源投入からゲーム開始までが速い。一方で最大容量は512Mbit(64MB)にとどまり、CD-ROMの約640MBとは10倍の開きがある。ムービーや録音済み音声を大量に載せる手法は取れない。

容量単価の高さはソフト定価にも反映され、N64のソフトは同時期のCD媒体タイトルより2,000〜3,000円ほど高い水準にあった。サードパーティの参入判断に影響したと分析されることが多い。

コントローラと4ポート

本体前面にコントローラ端子を4つ標準装備している。マルチタップなしで4人同時プレイができる家庭用機は、この世代ではN64だけだった。

コントローラ中央に3Dスティックを配置し、左右にグリップを追加した3本足の形状も独自である。アナログ入力を前提にした3Dアクションのために設計されたもので、コントローラ背面にはコンテンツによって用途が変わる拡張スロット(振動パック、コントローラパック)が付く。

派生モデル・周辺機器

1997年4月
振動パック(1,400円)― 世界初の純正振動デバイス
1998年
メモリー拡張パック(3,600円)― RDRAMを8MBへ拡張
1999年12月
64DD(30,000円)― 磁気ディスクドライブ。日本限定・ランドネット会員向け

参考にした資料

  • 任天堂 決算資料「主要ハードウェア・ソフトウェア販売実績」
  • Nintendo 64 Programming Manual(Silicon Graphics/任天堂)

画像出典

  • 「任天堂 NINTENDO64 本体」 撮影:Evan-Amos / 出典:Wikimedia Commons / ライセンス:パブリックドメイン

システム構成図および各種グラフは当資料室で作成したものです。

最終更新:2026-02-08